「あさってのモノサシ」を観て - 「北欧、暮らしの道具店」との日々

「北欧、暮らしの道具店」の新番組、「あさってのモノサシ」を観ました。

編集者・ライターの一田憲子さんと、「北欧、暮らしの道具店」の店長　佐藤さんが語り合い、一田さんの生活への密着シーンがかけ合わさった、新感覚トークドキュメンタリー。

hokuohkurashi.com

「チャポ行こ」の中で、「テレビでやっているようなものに近い、番組を作ってみたかった」と佐藤店長が語っていたとおり、「北欧、暮らしの道具店」の番組にしては珍しい、40分の長尺でした。

ここからは、私が番組を見た感想なので、ネタバレを避けたい方は、Ｕターンしてくださいね。

＊

＊＊＊

ここから、感想です。

私は30代に足を突っ込んだところ、佐藤店長とはおそらく一回り以上違うし、一田さんは母くらいの年齢だと思います。

いつか未来の私が、感じるような悩みを、お二人が話してくれる。そんな気持ちになりながらお二人のトークをしみじみと聞きました。

「年をとっても楽しいわよ」って、ほんとにそう？

ずっと、役に立つ自分でいたい、ずっと機能していたい。

佐藤店長の言葉は、人生への疑問。ディテールやステージは違えど、私自身も感じたこと・思ったことがあるような、疑問を素直に投げかけられていて、耳を澄ませて聞いてしまうシーンも多々。それに1つ1つ、ご自身の経験も交えながら答えてくださる一田さんは、人生の先輩らしくもあり、母や姉らしくもあり。お二人の会話に、背中を押していただけるような、そんな40分でした。

＊＊＊

同じような気持ちになった頃が、「チャポ行こ」にもあるなと思いながら聞いていました。

例えば、子育てについて。私は子供と遊ぶというのが本当に苦手で、母親失格だなぁと、子供が生まれてから何度も思ったことがあります。「チャポ行こ」で、同じような話を佐藤店長とよしべさんが話されていたことがあって。お散歩とか、自分が好きで、できることを一緒にすることでもいいんだと思えて、すごく気持ちが楽になりました。

ほかにも、日々の暮らしもそう。「暮らしっていうか、生きるだよね」の、佐藤店長の言葉を胸に乗り越えた日が幾日も。「生きれていたら、それでいいやん！」と思って、家事を投げ出して、ドラクエでいえば「いのちだいじに」で過ごした日は、自分の心と体を回復させる一日になりました。

＊＊＊

「あさってのモノサシ」に話を戻すと、タイトルにもなった「あさってのモノサシ」という一田さんのセリフには、考えさせられるものがありました。思い返すと、何かの「モノサシ」にとらわれることが人生の中でなんと多いことか。

例えば、仕事のこと。私は今の仕事に向いていると思えていなくて、それから、まわりにたくさんの優秀な同僚・後輩をうらやましくも怖がりながら（いつ、用なしといわれるなじゃないかと思いながら）、日々働いていました。

8月から、ほかの部署に少しお邪魔させていただくことになって、「ここでだったら、私も役に立てるかも」と、ほっとした気持ちと新たなやる気を感じるようになりました。これは、ほかの部署に行かなければわからなかった、新しい価値観・モノサシかもしれません。

それから、子育てのこと。子育てをしながら、もっと独身を楽しんだらよかったんじゃないかと思うことがあります。海外で暮らしてみたかった、しがらみなく自由に旅をしてみたかった、仕事に趣味にもっと時間を費やしたかったと。母じゃなければ得られたであろうモノサシばかり見て、うらやましい気持ちになることが時々あるんです。でも、子供たちが「ママ、好き」と言ってくれる、この人生はもう手放せない。この子たちが好きと言ってくれるなら、今を精一杯楽しもうと、このモノサシを大切にしようと、そんな気持ちになりました。

最後に、何かを書くということ。仕事に、子育てに、それだけでなくて、私の居場所が欲しかった。誰か1人でも、私の文章を見てくれる、そんな場所・モノサシが欲しくて、いま、こうして文章を書いているんだと思いました。

＊＊＊

「あさってのモノサシ」。誰もが歳を重ねるからこそ、誰の心にも響く番組になったのだと思います。今の私にも、いつかの私にも、いい意味でズキンとくる言葉の宝物。これからも、何度も見返すだろうなと、思うのです。

ぜひ、佐藤店長のインタビュー記事も合わせてみてくださいね。

hokuohkurashi.com

[PR]一田さんの著書はこちら。