「北欧、暮らしの道具店」が教えてくれた人がいる。文筆家の土門蘭さんだ。
といっても、初めての出会いは「北欧、暮らしの道具店」経由ではなかった。土門蘭さんの著書、「経営者の孤独。」という著書を読んだことがきっかけだった。
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私が好きな経営者の方がこの本の中でインタビューされており、その方のインタビュー記事を読みたくて購入したのだった。この本の中では、クラシコムの青木さん、佐藤店長もインタビューされていて(なんと、兄妹での出演!)、興味深く拝読させていただいた。
佐藤店長のお話の中にも、土門さんは時々出てくる。チャポンと行こうの第41夜「友達の作り方について」の中で話されていた、大人になってからの友達というのは、おそらく土門さんのことだ(もし違っていたらごめんなさい)。
土門さんは「北欧、暮らしの道具店」でも、エッセイを書かれている。例えば、短歌とエッセイで綴る連載『57577の宝箱』。その連載回数は100回を超える。
写真家の吉田周平さんの写真も、土門さんの文章の雰囲気にとてもあっていると感じる。短歌と、エッセイと、写真の調和を味わうのも、1つの楽しみ方だ。
どの回もとても好きなのだけれど、1つを選べと言われたらこれ、というのは第71話の短歌だ。
やわらかなあなたのままでいられるよう わたしもなるべくやわらかでいる
土門さんの息子さんの小学校でのエピソードが添えられている。土門さんと同じく、2人の息子を持つ母として、将来起こるかもしれないその出来事を、肌に感じて読み返す今も涙がこぼれそうになっている。昔は感情移入をするタイプではなかったのだけれど、親という生き物になってから、なんだか涙もろくなってしまった。「これが、親になるということか」と感じるきっかけの1つであった。
それから、土門さんの思考の移り変わりを感じることができるのも、長期連載ならではだ。例えば香水について、最近2回テーマになっている。
香水を真上にひと吹きしてくぐる 生まれ変わった私の世界(第85回)
それぞれ、是非読んでいただきたいのだけれど、前者は大好きだった香水との久しぶりの再会、後者は香水を再び使うようになってからの新しい発見が書かれている。同じ香水について書かれているのだけれど、違った内容で興味深い。
土門さんといえば、「スーツケース・ジャーニー」の脚本を書かれたのも記憶に新しい。しばらくの間、毎日欠かさず見ていたYouTubeドラマで、これきっかけで「西の魔女が死んだ」を初めて読んだ。続編が待ち遠しいドラマでもある。
旅行好きな私にとっては、初めての一人旅を思い出させてくれる素敵な作品だった。初めての一人旅は、北欧に1週間。右も左もわからないし、今思えば英語も全然しゃべれなくて。不安とわくわくに挟まれた、その時の感情を思い出す。
「北欧、暮らしの道具店」以外の土門蘭さんもフォローするようになっている。例えばSNSのnoteでの連載や、Twitter。それからまだ読めていない土門蘭さんの著書も読みたい本リストに長らく入っているから、そろそろ購入しなければ。先日の「リアほ」の特集も、タイトルのインパクトと同じくらいに、内容も濃いものだった。
文章を書くのが好きなものの1人として、土門蘭さんは憧れの文筆家のお一人なのだと、改めてこの文章を書いて思う。ちょっと気持ち悪いラブレターみたいになってしまったかもと思いつつ、これからも土門さんの書く文章に、元気をもらったり、励まされたり、涙したりする未来を楽しみにしている。